中小企業が採用活動で使える唯一絶対の武器は「スピード」

  • 2021年7月5日
  • 2021年7月2日
  • 採用

採用活動においては、大手に比べて知名度の低い中小企業は、圧倒的に不利なのは否めません。
しかし、これはビジネスにも言えることで、規模の大小に関わらずいま生き残っている企業には、ちゃんと理由があるからです。

一般的にビジネスで中小企業が生き残っている理由は、独自の技術力を保持している会社を除けば、組織が小さいので、小回りが利くことでしょう。その利点を生かしてのスピード勝負こそ、中小企業が取るべき戦術です。

そしてスピードこそが、中小企業の最大最強の武器であるとすれば、これを採用に使わない手はありません。

如何でしょうか?

採用にかける日数はどのくらい?

実際に企業では採用にどのくらい日数をかけているのでしょうか?
そのデータが、ありました。

引用:株式会社マイナビ 中途採用状況調査2020年版

これによると、「1次面接から内定を出すまでの平均日数は『1週間未満』『1週間以上2週間未満』がそれぞれ3分の1程度。平均値は12.3日」「1次面接から内定を出すまでの平均日数、内定応諾を貰うまでの平均日数ともに企業規模の大きい企業の方が多い日数を要する傾向にある。」

とあります。さらにデータを詳しく見て行くと、1次面接から内定までの平均日数は、従業員60人未満の企業で、平均8.8日、同60人~299人が平均10.3日、300人以上では平均16.2日となっています。

以上から、多くの中小企業は、大企業と比べて倍くらいの早さで採用をしていることになります。
中小企業であれば、1次面接から内定までの日数は8日以内を目指した方が良いと言えるでしょう。

スピードアップの効果はあるのか?

同じく、「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」には以下のデータがありました。

引用:株式会社マイナビ 中途採用状況調査2020年版

「実施した方法では「応募があり次第、速やかに返信する」がもっとも多く51.1%で特出してる。」とあるように、スピードアップは高い効果が期待できますので、これをやらない手は無いです。

どこを早くすべきか?

早い方が良い。というのはご理解いただけたと思います。ではどこを早くすべきか? です。
早くするポイントは大きく二つです。

意思決定を早くする

前述の通り組織が小さく、意思決定までの階層が少ないというのが一番の強みですから、この強みを生かしましょう。

階層が少なく、社長あるいは採用責任者に情報が即伝達されるというのが中小企業の普通の姿でしょうが、社長や採用責任者が決めるのが遅かったら、その強みをなかなか生かせません。

設備を買うことや、お金を使うことに比べ「人」のことは見え難いので、判断に迷うこともあるでしょう。より慎重に。という姿勢になることも理解できます。

しかし、経営の4要素「人・物・金・情報」の中で「人」が先頭に出てくるのは、その中でも一番重要なことだからです。
採用も「人」のことですから、経営者特有の勘を働かせて、素早い意思決定をすることを意識しましょう。
誰もが十分に納得できる情報が集まるということはほぼ無いし、情報が足りない中で判断をしなければならないのが、経営者や責任者です。

実務対応を早くする

いくら意思決定が早くても、実務対応が遅いということもよくあります。
採用は、総務部などの間接部門が担当することが多いと思いますが、日々顧客対応をしている営業や現場部門と違い、間接部門が万事遅れがちです。これは間接部門の業務サイクルが1ヶ月単位のものが多いというのも理由かと思います。

採用は、社外の個人が相手ですので、そもそも対応スピードは顧客対応なみにするべきです。ましてや、早さを武器に採用するのであれば、担当部署に早さに対する意識改革が必要です。

私が企業内で採用を統括していたときは「とにかく早く」「迷うことなく今対応せよ」というのを徹底していました。
例えば、意思決定が夕方になってしった場合、電話連絡であれば「もう夕方だから明日のしよう」という判断も分からなくはないですが、今の連絡手段は、メールは普通(というかもう遅れ気味)ですから、時間に関わらず「今やれ」としていました。

早い動きをされたとき相手はどう思うか?

ここで一旦立ち止まって、「相手はどう思っているか?」を考えて行きましょう。

私も採用に従事しているとき、一番気になったのはこの点です。「軽くみられるんじゃないか?」「他社のあて馬に使われるんじゃないか?」等々考えていました。

しかし、実際には「何ごとも早くて助かりました」「企業としての誠実な姿勢を感じました」という反応が多かったです。
これは、内定を受けた人も、辞退した人も共通に多かったように記憶しています。

何故だと思いますか?

  1. 興味がある人
    早く対応してもらえば、それだけ自分を評価してもらうと考えますので、内定受諾に結びつきやすいでしょう。
  2. あまり興味が無い人
    現実的に考えれば、興味があまりなくとも接触してくるのは、あて馬や滑り止めと考えるべきでしょう。逆にそう捉えているからこそ、早く結果を出してくれるのはありがたいと考えるのです。
    そして中には、早いということだけで好感度があがり、志望度も上がる人もいます。また、他社の遅さに辟易し、こちらに目を向けることもあるのです。
  3. 上記以外
    就職活動はやっている本人も不安なものです。これは新卒でも中途でも同じ。その気持ちでいるときに、「早々に内定が出た」というのは安心材料です。
    自分に「安心」を与えてくれた会社に対して、良い感情を持つことは多いでしょうから、他の決定的要素が少なければ、「早い」「安心」が決定要素になり得ます。
    まぁそんなふわっとした感じで来られても・・・というのはありますが。

もちろん、いくら対応を早くしても響かない人はいますが、そういう人は元からご縁がなかった。ということでしょう。

以上は私の経験でしかないのですが、まぁ普通にこうだと思っています。立場が逆にして考えれば、自分も多かれ少なかれ同じように考えるはずなので。

それぞれの場面での早く対応する工夫

次に、具体的な場面を想定して、スピードアップの具体策を考えて行きたいと思います。

採用プロセスを決めておく

会社によっては「会社説明」から「試験」と順を追って行くところもあるように思いますが、中小企業がスピードを重視する採用をする場合、これはお勧めできません。

実は、採用プロセスを何段階にも分けるというのは、相手を出来るだけ拘束する。という意味があるのです。知名度のある大企業であれば、このやり方が通用しますが、中小企業では、拘束することはあまり意味がありません。

あくまでもスピードを重視しましょう。「会社説明と試験は1回で済ます」ことがベストです。

応募があったとき

中小企業の場合、そんなに多くの人が応募してくるのは稀で、通常は、単発に連絡が来ます。
その時に、「人数が集まるのを待つ」のか「個別に対応して行く」のかを予め決めておきましょう。

私のお勧めは、もちろん「個別に対応して行く」です。単発に連絡が来る程度なのに、人数を集まるのを待つというのは、そもそも愚かです。
単発で来る応募者に対して、確実に会うことを優先するべきです。

そのために、以下を用意しておいた方が良いでしょう。

  1. 「会社説明・試験」の案内のテンプレートを用意し、日時だけ入れれば即送れるようにしておく
  2. 採用に関係する者が対応できる日時を週単位で決めておく

合否決定

試験では面接を行うだろうし、大方は面接の印象だけで決まるはずです。このやり方の是非は置いておいて、現実にはこうでしょう。
その場合、「鉄は熱いうちに打て」のことわざ通り、試験後ホットなうちに結果を出しましょう。

筆記試験を行った場合、その結果判定に時間がかかる場合があります。その場合でも可能な限り早く結果判定を入手し、3日以内に最終的な合否を決定することをお勧めします。

合否の通知

項番3の「対応を早くする」に書いた通り、合否の決定がされたら即連絡しましょう。そもそもここで止める理由はありません。

そのためには、以下を予め準備しておきましょう。

  1. 合格、不合格の両方のテンプレート
  2. 合格の場合、内定受託の期限(受領後1週間など)
  3. 内定受託する場合の今後のスケジュール

内定時

ここからは、スピードダウンしても構いません。むしろ落ち着いてやった方が良いです。
雇用条件などは、既に提示済なはずですが、内定で改めて正式な文書として出すことになると思いますので、用意しておきましょう。
合わせて中途の場合は、入社日も相談して決めることになると思いますので、当方の希望を決めておくと良いでしょう。

応募連絡~合否通知までを最低1週間が目指すべきスピードと考えますが、早ければ早い方が良いです。
それで、上手く行かなかったら、その人は、元々志望度が低かったか、当方の早さについてこれなかったか、のいずれかでしょう。

「ついてこれなかった」人は勿体ないような気もしますが、そもそも中小企業のビジネスはスピードが強みであることを考えれば、合わない人ということです。諦めましょう。

応募して来た人はポテンシャルカスタマー

如何でしたか?
そんなに早くする必要はある? と思った方もいるかと思いますが、項番4「早い動きをされたとき相手はどう思うか?」で述べた通り、早い対応に引くという人は少なく、好感を持つ人の方が多いのは事実です。

就職する立場になって考えれば分かると思いますが、就職は個人にとってかなりのストレスです。
結果に対して不安を持ちながら活動している人がほとんどです。

そういう心理状態なときに、仮に良くない結果だとしても、早く知らせてくれるというのは助かると感じるのです。

ダラダラと先に延ばされた挙句、不採用の「お祈りメール」が来たら凹みますよね。普通。これが最低最悪の対応です。こういう対応をした会社、嫌いになりませんか?

採用/就職という形で接触した人が、縁が無くて入社しなかったとしても、どこで顧客になるか分からないのですから、好感度は上げておいた方が良いです。

その意味でも対応スピードを上げることが重要です。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。

>クソゲー採用を卒業しませんか?

クソゲー採用を卒業しませんか?

求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。こんなことの繰り返しで、ずっと採用活動を続けている中小企業が多いです。
私はこれを「採用活動のクソゲー化」と呼んでます。クソゲーとはルールや設定が酷すぎて、終わらない、つまらないゲームのこと。
今までの習慣やルールを変えて、まともな採用をしてみませんか?そう考える方はこちらまで。

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