目的別の採用手法をお教えします!

  • 2021年5月24日
  • 2022年1月4日
  • 採用

いつも言っておりますが、知名度も潤沢な予算も採用ノウハウもない中小企業での人材採用は大変です。

多くの中小企業が、どんな手段を使えば採用に成功するかも分からず手探りで活動しているのが現状。
仕事でも最初は手探りで始めて、徐々に学ぶことによってノウハウが蓄積されて行くのですが、採用のノウハウ蓄積に割くほど人材に余裕もない。。。そんな悩みを抱えている中小企業も多いです。

どんな属性の人を採用するのか? 例えば新卒を採用して自社で育成したいのか? 中途で即戦力を採用したいのか? それぞれ採用手法は変わってきます。

目的に対して手段を間違えると、お金と労力は無駄ばかりになります。
そこで、「将来の中核人材」を「新卒」「中途」で採用する場合、今戦力になる中核人材を採用」など、シーンごとに、どのような採用手法を選べばいいか? をお教えします!

将来の中核人材を新卒で採用をする

将来の中核人材を採用する場合、新卒を採用するか、中途で若手を採用するか、あるいはその両方を試みるかのいずれかでしょう。
さらに細分化すると、新卒でも大卒か高卒かでやることが変わります。大卒は自由応募が主流ですが、高卒は今でも学校経由になります。
採用数によってもやることが変わります。
以下それぞれ見て行きましょう。

高卒の場合

高校卒は学校を通じての採用になりますので、可能であれば学校との繋がりを強くすることが重要です。
学校の立場で考えると、ありがたいのは、条件は以下の2点を満たしている企業です。

  1. 年度ごとの採用数が予測できる会社
  2. 就職した自校の卒業生が早期退職していない会社

言うまでもなく、自校の生徒を毎年採用してくれる会社は、学校から見てありがたい存在です。
また、毎年でなくても、例えば隔年で1名ずつ採用など、とにかくその年度の採用が読める方が学校側もありがたいと思うはずです。

一方で、せっかく就職した卒業生が早期に退職した場合、その理由の如何に関わらず学校は、次の生徒を紹介するのは躊躇するでしょう。退職が続いたら関係を維持するのは難しいです。

企業としては「そんなこと言わずに退職理由を見て欲しい」というのは気持ちになりますが、退職、ましてそれが続くという事実があった場合、理由より退職という事象にばかり注目してしまうのは、普通でしょう。

したがって、以下の二点が重要です。

  1. 中期的な採用計画を立案し、学校に明示すること
  2. 採用した人は、出来るだけ辞めないようにフォローすること

ただし、無理に退職を止めることはなく、当方は退職理由をちゃんと見て行きましょう。その理由によって、社内の改善をする、あるいはその学校との繋がりを当方から薄くして行くという判断をするべきです。

また、後で述べる「学生に響くブランディング」を考えて採用活動をすれば、プラスαの効果があります。

大卒の場合

大学卒に関しては、建前はともかくほぼ自由応募になっていますので、高校卒のように学校との繋がりが必須ではありません。
しかし、少人数しか採用しない場合は、高校同様学校との繋がりを構築して行った方が、効率の良い採用が出来ます。
中小企業でしかも将来の中核人材候補の採用ですから、そんなに多くの人を採るとは思えませんので、少ない採用人数を前提に説明します。

学校との繋がりを強くする

有名大学との繋がり強化は、中小企業にとってはハードルが高いです。
しかし、特に有名でも優秀でもない大学というのは日本中に山ほどあります。この手の大学は、高校生の就職と一緒です。
大学との繋がり強化のためには、定期的に採用する。というのが、先方がありがたがるポイントです。

学生に響くブランディングをする

大学生と高校生の違いは、成熟度。大人であることです。
高校生は、学校の先生を押さえておけば良いのですが、大学生はさすがにそれなりの判断基準を持っていますので、会社側に大学生に響く何かがなければ、結局はその他大勢の注目もされない企業となります。

大学生に響くものを一言で言うと「自社の存在意義」です。

理念、ビジョン、ミッション、ビジネス形態、福利厚生などアピールとなるポイントは多いですが、それらを包含するのは、「結局当社は何をもって社会に役立って、存在できているのか?」という問いの答えです。

採用メディアを使う

中小企業にはあまりお勧めできませんが、やらないよりやった方が良いというケースもあるでしょう。
採用メディアは、大企業も有名企業も採用に使うので、彼らとの勝負になります。
大企業や有名企業との違いを鮮明しないと埋没してしますのは必定。それを避けるためには、前述の「自社の存在意義」をより尖った形で発信し、他社との違いを鮮明にする必要があります。

就職協定はどう考えるべき?

大学卒の採用をしていると、就職協定(最近は就活ルールと言うらしいですが)なんてものがあったりします。
最近コロコロ変わるので、また変わる可能性がありますが、現状は以下の通りです。

広報解禁→大学3年の3月
選考解禁→大学4年の6月
内定解禁→大学4年の10月

個人的には、正直これってどうなんだ?と思います。
本来学生の勉学の邪魔をしない。というのが主旨であり、社会の一員たる企業が取るべき姿勢です。一方で誰でも優秀な学生が採りたいのですから、のんびりと構えているわけには行きません。

本来の「勉学の邪魔をしない」という当り前のことを考え、独自に日程を組むことをお勧めします。
日程や採用方法に「勉学の邪魔をしない」ことが念頭にあり、その理由が論理的であれば、むしろ大学側との繋がりが強固になることもあります。
この点でも、自己の考え、主張は明確にすべきです。

中途で若手を採用したい

新卒を採用するの場合、即戦力は諦めることになります。
企業のよっては、これを嫌い、まず実務の上で即戦力を期待した上で、将来の中核人材になって欲しいと考えると思います。その方が、効率が良いですから。
これは、どこの会社も考えることは同じなので、必然的に競争が激しくなります。

また中途採用の場合、学校という窓口がなくなるので、新卒とは違う取り組みをせざるを得ません。

採用エージェント会社を使う

広く周知するには、採用エージェント会社を使って採用広告を出すのが一般的です。
しかし、新卒の「採用メディアを使う」で説明した通り、一般的な方法は大企業や有名企業を利用しますので、中小企業が同じようなことを同じ気持ちでやっても、埋没して終わりです。見てもくれません。

一応、採用エージェント会社なので、担当が付いた上で、求職者に個別メールを出すなどのサービスもありますが、これも広告よりはマシな程度で、普通にやっていたのでは、大手の海に埋没します。

ですから1にも2にも個性、すなわち「自社の存在意義」の追求が必要です。

職安や行政の支援

職安経由の求人は、正直大都市圏では全く意味がありません。しかし、地方では意外と役に立つことがあります。
また、地方では行政がUターンやIターンを奨励していることが多く、セミナーを定期的に開催しています。

地方企業の採用をお手伝いしたとき、意外と職安から応募があったり、行政からの支援の種類が沢山あり、それぞれ手厚かったりで、かなり驚きしました。首都圏ではこんなことはあり得ません。

もし、会社が地方にある場合は、職安や行政の支援一択で良いかもしれません。

学校から既卒者を紹介してもらう

ごく稀ですが、就職に失敗した卒業生の情報を学校の先生が持っている場合があります。
新卒採用で繋がりがある学校からしか情報は来ないので、新卒採用をメインにしながら、例外的に中途もありと考えている場合には有効かもしれません。

目先の中核人材が欲しい

今いる管理職が何かの事情で退職してしまったという時などは、中途で後任を採用せざるを得ないですよね。年齢層は、中高年が多いと思うので、こちらも方法は変ります。

紹介

取引銀行や取引先から人材紹介をしてもらうことは良いでしょう。
自社のことをよく知っている会社からの紹介ですので、ミスマッチも少ないです。
また、銀行はある程度の年齢になると社外に出ることが多いのですから、採用したい人が総務経理系であればベストな選択です。

採用エージェント

採用エージェントの中でも特に中高年や幹部に特化した人材紹介をしているところがありますので、依頼するというのも一つの手です。

職安

中高年は比較的「買い手市場」になりますので、職安に当たってみる価値はあります。
しかし、募集職種にぴったりマッチした人材はなかなかおりませんので、社会人経験をべーズに「新しいことにチャレンジする気概」を重視して採用に取組む方が良いでしょう。

とりあえず目先の人手が欲しい

良い悪いは置いておいて、目先の人手が欲しいときは、非正規を採用するというのが現実です。
また、非正規雇用を望む人も多いので、双方のニーズが合致していると考えるべきでしょう。

しかし中には不本意ながら非正規雇用を選択しなければならない人も居り、その中には能力があって、もしかしたら中核人材になる得る人もいます。
中小企業にとっては、もしそういう人が採れたらラッキーです。

求人を職安に出す、あるいは派遣会社を通じて来てもらうことになると思いますが、予め非正規で続けたいのか、出来れば正社員になりたいのかはしっかり決めた上で採用に臨みましょう。

また、派遣でも紹介予定派遣というのがあります。これはある一定期間は派遣で働いてもらい、双方良ければ雇用契約を結ぶという形態です。
社員の退職理由のほとんどが「人間関係や社風に合わない」ことを考えると、紹介予定派遣というのは、良い制度だと思います。

どんな採用でも共通する準備

個性の創出

今まで何度も述べた「自社の存在意義」です。
会社には個性もあり強みがあるはずです。でなければ新規に採用しようと考える会社になる前に潰れているはずです。
この個性や強みを顕在化させ、自身も意識し、アピールする。これが採用においては最も重要です。

自社の個性は? 強みは? 顕在化させるためにはどうしたら良いか? については、以下を参照してください。

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私がIT企業に勤めている時、自社の採用(新卒採用のみですが)を主導する立場にありました。 皆さんもご存知と思いますが、従業員100名~200名の中小IT企業なんて、掃いて捨てる程世の中には存在し、一応は成長産業なので、どこの会社でも採用に[…]

採用計画

中小企業で多いのが、行き当たりばったりの採用です。
目先の受注状況で採用を増やす、減らすなんてことが多いのですが、これでは採用は上手く行きません。理由は以下の通りです。

  1. 行き当たりばったりの採用は、中途採用がメインになります。しかし中小企業にとっての中途採用はほぼ運頼りで、結局人が採れずにズルズルと過ごすことになります。
  2. 一方新卒採用は、営業と一緒で、種まきをして育てるプロセスが必要です。時間がかかりますが、正しい活動をしていれば成果は出てきます。
    ですから、中長期的な事業計画を立て、必要な人材像と人数を導き出して、採用も中長期視点で行うべきです。
    こう考えると分かると思いますが、新卒採用と育成をセットでメインに中途をサブと考えるべきです。
  3. 特に新卒の場合、学校から見て定期的に採用してくれる会社の方が好まれます。新卒をメインにするべきでれば、学校との繋がりを強固にする。そのためには採用計画をしっかり作ることが必要です。

SNSを使った定期的な広告宣伝活動

今ではSNSを使えば気軽に情報発信が出来ます。自社の特徴、自分が気に入っていること、「これいいなー」ということはどんどんSNSで情報発信しましょう。

今すぐ何がある訳でもありませんが、自社に興味を持った人がSNSを検索するときの思い浮かべてください。
会社の個性が出ている投稿を見て、受けてみたい。となる人が一人でもいたら成功でしょう。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。