お祈りメール
採用活動をしていれば、不採用というケースもあります。その時どうしているでしょうか?
世の中で一般的なのは、大体以下の感じのようです。(「不採用 通知」で検索してもらえば例文が山ほど出てきます)
- 応募へのお礼
- 実際にやり取りがあれば、その行為へのお礼
- 不採用になった理由を抽象的に記述
- 期待に沿えないことへの謝罪
- 「今後のご活躍をお祈り申し上げます」という結び
最後の結びで「お祈り申し上げます」とあるので、一般にはお祈りメールと呼ばれてますね。
私なんぞは、こんなテンプレートを使う時点で不誠実だな~。と思ってしまうのですが、どうですかね?
将来へのアドバイスは出来ないものか?
企業側に不採用理由を説明する義務は無いんですよね。
そして下手に具体的なことを書くと、場合によってはトラブルになります。
なので、本人から不採用理由を聞かれても、せいぜい「応募者が多く、他の方との相対評価で決めざるを得なかった」と説明するぐらいでしょう。
でもこれではなんで不採用だったのか分からない。
相性などその会社との関連性で不採用になったのか、能力不足など個人の普遍的問題で不採用になったのか、あるいは単に年齢、性別で不採用になったのか、本人が分からなければ対策の打ちようがないです。
トラブルになる可能性があるので、「能力不足」なんて言い難いのは分かりますが、せっかくご縁があった人ですから、その人の将来の向けて有意義なアドバイスは出来ないものかねぇ。と思います。
本当の理由が言えない
現実問題として、今は法律で、採用時に年齢や性別での制限は出来ないですから、どこの企業も年齢・性別不問という求人票を出します。
でも実際には、年齢や性別を理由に不採用というのもあるでしょう。
この場合、不採用の理由は説明できないですよね。「年齢で落としました」と言ったら、法律違反ですものね。
だから「応募者が多く、他の方との相対評価で決めざるを得なかった」なんて、当り障りのない理由を挙げるわけです。
でも、これを受取る人はどう思うか考えたことありますか?
多くの人が「やっぱり年齢(性別)で落とされたんだろうな」と。仮に能力不足などの理由で不採用にしてもです。
そして、その中の一定数が「嫌な会社だな」と思うはずです。
元々求人時点で年齢や性別の制限があれば、こんな風には思わないんですけどね。
機会の公平という理想には賛同しますので、今でもこんな思考で採用している会社がダメだと思いますが、それが現実でしょう。
採用基準を明確に!
前項のケースはともかく、多くの場合は採用基準がはっきりしていない故に、当り障りの無い不採用理由になるんです。
分かり易く単純化した例でお話しします。
「簿記1級を持っている」という採用基準を定めたとします。
これは求人票に書いても書かなくても良いですが、1級保持者はなかなか来そうもないので幅を持たせて「簿記2級以上」と書いて求人したとしましょう。
これで「簿記1級」が来たら、言う事なしです。
2級で応募して来た人には、「1級を持った人が来たのであなたを採用できません」と通知するだけです。
2級保持者しか来なかったら、簿記の筆記試験をする。その得点で決めれば良い。
不採用理由は「筆記試験であなたより高得点の人がいたから」
同じ得点が複数居たら、面接で決めればいいのです。その時の基準は年齢でも結構。
不採用理由は「資格、筆記試験で同レベルの人が複数居たので、面接で決めました」
改めて努力をする人がいるかもしれません
このように理由を言われれば、多くの人が納得し、変な勘ぐりもなくなります。
また、中には「では自分も簿記1級を目指そう」と思う人もいるかもしれません。
これって、その人個人にとっても良いことだし、社会全体にとっても良いことだと思いませんか?
これは、「『考え方』という素質を見つけ出す設題例」で紹介した課題の出し方でも同じ。
応募者の回答に対して、「当社ではこういう考え方でこう実施し成功した」とか「この視点が足りないと思う」というフィードバックをすれば、彼らはそれをきっかけに視点を変えたり、視野を広げる方向に向くかもしれません。
せっかく応募してくれたのですから、お祈りメールで終わりではなく、何かお土産を渡せた方が、お互いに幸せでしょう。
会社は「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」の組織
「そもそも会社である目的は?」で説明しましたが、会社は「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」の組織です。
だからまず「得意分野」に着目する。その分野で一番能力が高いと思われる人を採用する。
そりゃ、性格や組織との相性、年齢、性別が気になるのも分かりますし、要素として無視できるものでもありません。
ですが、そもそも会社とは?と考えれば、最も重要な要素は「能力」だし、能力に着目すれば採用基準も明確化しやすい。
これまで述べてきた通り、余計なトラブルの芽も排除できます。
ということで、会社の原点に立ち返って、能力を重視した採用をすれば、上手く行くのは、至極当然です。
原点に立ち返ってみませんか?