私は今の採用/就職活動は問題が多いと言っております。
そして、多分に企業側に問題があると思っています。
そのテーマで3回ほど文章を書きました。よかったらこちらも覗いてください。
「人材像を明確に」
「それでも間違った採用を続けますか?」
「気が合う人を採用し続けた末路」
さて、今回もテーマは同じですが、求職者側の生の声を紹介します。
内閣府の調査では
まず「中小企業の採用ってクソゲーみたいになっちゃいますよね?」というタイトルで書いたとき参照した資料を再び紹介します。
前と同じ話になって恐縮ですが、「安定していて長く続けられること」「収入が多いこと」「自分のやりたい事が出来ること」というのがトップ3です。

生の声を聞くと
以下は、私が採用に携わったときに、求職者にインタビューしたものです。
もちろん数は少ないのですが、生の声ということで紹介します。
前項で紹介した、「安定していて長く続けられること」「収入が多いこと」「自分のやりたい事が出来ること」と関連性が伺える項目には、それぞれ(A)「安定」(B)「収入」(C)「やりたい事」、それ以外は(★)印をつけてみました。
(1)きっちりした会社に入りたかった(A)
(2)今の閉塞感から脱したかった(★)
(3)新しい会社で魅力を感じた(C)
(4)就職エージェントからは公開情報以外の情報は無かった(★)
(5)面接してみてまともでない会社が多かった(A)
(6)転職先候補の比較検討はあまりしなかった(★)
(7)口コミサイトやホームページで、会社の評判や考え方はチェックした(★)
(8)前職は営業で、実は自分は営業に不向きと思っている(C)
(9)自分に興味がある分野で仕事がしたい(C)
(10)転職後の人間関係が気になる(★)
意外だったのは収入についての意見が無かったことですが、私が直接聞いていることもあって、言い出し難かったか、言及する雰囲気では無かったのではないかと思います。
「安定」は2つ、「やりたい事」は3つありましたので、前項で紹介した内閣府の調査を合わせて考えると、やはりこの辺が就職する際のポイントであることは確かなようです。
仕事内容や自分のスキルにはフォーカスが当たっていない
もう一つ印象的だったのは、自分のスキルと仕事内容にフォーカスが当たっていないことです。
例えば「(9)自分に興味がある分野で仕事がしたい」と答えた人も、では自分がその仕事をするためのスキルを身に付けているかというと、そうでもない。
そもそも「興味がある分野」というは、その会社の事業内容でした。
そして結果的には、自身が漠然と思い描いていた仕事とは違う職種についているようです。
これは求職者がそこに思い至っていないか、企業が「具体的にどのような人材が欲しいか」を伝えていないので、求職者も諦めているかのどちらかでしょう。
いずれにしても、結構重要なことが抜けたまま、手探りで就職活動をしているように思います。
「安定」「収入」「やりたい事」以外の回答を見ると
(2)今の閉塞感から脱したかった(★)
(4)就職エージェントからは公開情報以外の情報は無かった(★)
(6)転職先候補の比較検討はあまりしなかった(★)
(7)口コミサイトやホームページで、会社の評判や考え方はチェックした(★)
(10)転職後の人間関係が気になる(★)
インタビューした相手は中途採用の人たちなので 「中小企業の採用ってクソゲーみたいになっちゃいますよね?」 の退職理由で紹介した、人間関係や社風について、気にしているのが伺えます。
特に「(2)今の閉塞感から脱したかった」と「(10)転職後の人間関係が気になる」言っていた人は同じ人です。
前職の社風が合わず、人間関係も苦労していたようで、特に転職先の人間関係を気にしていました。
多くの人の退職理由が「社風」や「人間関係」であることを合わせて考えると、このポイントは見かけより重要であると言えます。
それもあって、「(7)口コミサイトやホームページで、会社の評判や考え方はチェック」をするものの、
その一方で、「(4)就職エージェントからは公開情報以外の情報は無かった」とあまり役に立たず、どこも似たり寄ったりの情報しか出てないので、
「(6)転職先候補の比較検討はあまりしなかった」ではなく“出来なかった”。というのが現実なようです。
必要なことを知る術がない
結局、求職者の多くは、社風に馴染めるか?という点を気にしてると思うのですが、求職者が会社の社風や人間関係を知る術はほとんどありません。
せいぜい面接した社長が気に入ってもらえれば、社風や人間関係に適合する確率が上がる程度でしょう(しかしせいぜい1時間の面接なので、かなり低いと思います)
また、「仕事の内容」や「自分の持っているスキルがその仕事に生かせるか」など、本来重要ではないか?と思えるポイントが企業も求職者も抜け落ちています。
ただ、そもそも「採用企業が、具体的にどのような人材が欲しいか考えていない」のであれば、深く考えている求職者は、そんな企業は敬遠するのではないかと考えます。
であれば、企業がすることは明確。
彼らが欲している情報、すなわち、
- どのような人材が欲しいかを、出来る限り具体化し開示する
- 社風や人間関係について、良い点も悪い点も含めて客観評価し開示する
でしょう。