気が合う人を採用し続けた末路。面接重視が同質性集団を作る

  • 2020年6月22日
  • 2021年1月19日
  • 採用

私は、企業が人材採用するに当たっては、まず「最上位概念(理念やビジョンなど)から、目的→目標→戦略→戦術と落としていって、目先の戦力との比較で、どんな人材が足りないか?を明確にする」ことが必要と言ってます。(「人材像を明確に」)

言葉にすると当り前なのですが、これが出来ていない会社は沢山あり、採用に失敗しています。

一番の問題は、採用基準が明確でないが故に、たかだか1時間程度の面接で、面接者(大抵は社長)の好き嫌いで決めてしまうことです。

せいぜい1時間ですから、相手の本質を分かる訳もなく、なんとなく決めているということです。で、入社した後びっくりなんてことになります。(「それでも間違った採用を続けますか?」)

と、ここまで採用面でも問題だけを取り上げて来ましたが、中には「一時の好き嫌い」採用で、採用自体は上手く行っている会社を私は知っています。
この会社をB社としましょう。

B社の採用対象は基本新卒ですから、それで上手く行っているのかもしれません。
しかし、採用が上手く行っているが故に、別のところで問題を抱えています。
そして実は企業にとっては、こちらの方が大問題です。

同質性集団になるという問題

どんな問題か?
それは同質性になってしまい、多様性が排除されてしまう。ということです。

まぁ、一概に同質性は悪いとは思いません。
同質性集団でもそこに所属する人(社員)たちが幸せならそれで構わない訳で、周囲に迷惑が及ばない限りは、外野がとやかく言う話では無いでしょう。

社員の幸せとは?

他方、社員たちの幸せとは何か?と問われれば、その企業が発展継続し、安心して社会生活を送れるというのが答えの一つです。
しかし、今どきは、コテコテの同質集団だと、発展どころか継続も難しいのでは?
変化の激しい時代ですから、企業も環境に合わせて変化しなければならない。
変化しようというときに、皆が同じ思考、同じ判断というのは弱いだろう。と私は思います。

変化が激しく、自身も変化が求められるときに必要な一番の要素は、多様性でしょうし、実際に上手く行っているかどうかはともかく、世の中の多くの企業では、多様性を維持するための様々な施策が打たれています。

面接重視が同質性集団を作る

一般的に中小企業では、最終的に社長が採用を決めるでしょう。普通は社長面接をします。
で、人間の好みは当然偏るのが普通です。

B社もそうでした。そもそも面接重視を謳っており、「当社に合うか合わないか」がポイントだと公言していました。
そしてそれは100%主観に基づくものでした。

繰り返しますが、これで上手く行けば問題無いし、上手く行っていた期間も長いです。
なので、私もずっと問題ないと思っていました。過度の同質性の弊害に気づいたのは最近のことです。

同質性に向かうプロセス

プロセスを簡単に表現すると、

①経営者好みの人ばかり入社する。なんか似たような感じの人ばかり
 ↓
②多くの社員が、その経営者と気が合うし年齢の離れているので、経営者は社員の尊敬を一身に集めるようになる
 ↓
③そこそこ上手く行っている間は、うちの会社って凄いよね!と多くの社員が思うようになる(内集団バイアスですわね)
 ↓
④たまにエラーで、異質な人が入って来たり、個人が成長して自社の在り方に疑問を投げかけると(今は上手く行っているけど、このままでは将来は?と考える人。本来はこういう人が後継者でしょう)、排除される
 ↓
⑤排除したことを正当化するため、「うちの会社凄い。異議を唱える奴はおかしい」に拍車をかける。
この信念が強固になった人たちがマジョリティになる
 ↓
⑥「うちの会社凄い。異議を唱える奴はおかしい」といのがエスカレートして、さすがにマズいと思った層が退職する
  ↓
⑦「この会社マズいんじゃない?」と思いつつ退職を選択できない人たちはマイノリティとしてひっそり暮らす(決して異を唱えたりしない)

という外から見ると、気持ち悪い集団になります。

経営者の衰えと共に悲惨な状況へ

そして、問題なのは、③から⑤にかけて強化された内集団バイアスと、②経営者への尊敬に、「当の経営者が加齢により衰える」というのが加味されると、これは目も当てられない惨状となります。

「判断力が衰え、口ではチャレンジと言うが本音は現状維持しか考えていない(チャレンジする気力も体力もない)老経営者」と、そんな経営者に忖度ばかりする「徹底的なイエスマン集団」の誕生となるわけです。

後継者なるような資質のある人も、老経営者の首に鈴付けるような人も既に去っています。残るのは、イエスマンと誰もチャレンジしない文化です。

「うちの社員はなぜチャレンジしない?」という愚問

以前、件の経営者に「うちの社員は何で新しいことにチャレンジしないのだろう?」とよく聞かれました。
当時は分からなかったのですが、今なら分かります。

「採用戦略が無く、行き当たりばったり、好き嫌いで採用をしたため、結果的に多様性を獲得できなかった」
「根本的には、経営戦略の欠如が原因」
「そもそもあなたが変化を望んでいないじゃない!」
です。

B社は、遠くない将来に倒産するでしょう。
あとは外部要因の変化で、いつになるか?ということ。まさしく時間の問題です。

実は、全然気付かずに、私もその片棒を担いでいました。それが今までの人生で一番の後悔です。
その反省もあって、「最上位概念(理念とかビジョンとか)から、目的→目標→戦略→戦術と落としていって、目先の戦力との比較で、どんな人材が足りないか?を明確にし補充していく」というめんどくさいことの実行をお勧めしております。

大事なので、もう一回言います。
「直感、気が合うか合わないかのみの採用を続けると、会社が潰れますよ。」

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。

>クソゲー採用を卒業しませんか?

クソゲー採用を卒業しませんか?

求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。こんなことの繰り返しで、ずっと採用活動を続けている中小企業が多いです。
私はこれを「採用活動のクソゲー化」と呼んでます。クソゲーとはルールや設定が酷すぎて、終わらない、つまらないゲームのこと。
今までの習慣やルールを変えて、まともな採用をしてみませんか?そう考える方はこちらまで。

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