なぜ社員が退職するのか?退職理由は?人間関係?はたらきがい?

  • 2020年10月7日
  • 2021年5月18日
  • 社風

社員の退職は少なからず痛手が伴うものです。
苦労して採用した社員が早々に辞めたり、将来の幹部候補と考えていた社員が急に辞めたり、

社員はなぜ退職してしまうのでしょうか?

私は介護などどうしようもない私的な事情は別として、社員が退職するのは、「人間関係」か「はたらきがい」を失うか、その両方を失うことが理由であると考えています。

退職理由は?

内閣府の“就労等に関する若者の意識”の「図表7 初職の離職理由」によると以下の通りです。

引用:内閣府 “就労等に関する若者の意識” 「図表7 初職の離職理由」https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30honpen/s0_0.html

1位 仕事が自分に合わなかった
2位 人間関係が合わなかった
3位 労働時間、休日、休暇の条件が良くなかった
4位 賃金が良くなかった
5位 ノルマや責任が重すぎた
6位 自分の能力・技能を活かせなかった
7位 会社の将来性がないと考えた

となります。

本当の理由は「はたらきがい」では?

大体想像した通りなのですが、私は少々違和感があります。

例えば、

  • 仲間に恵まれて、日々充実していても、賃金に不満が募るのだろうか?
  • さらに、所属している会社が、社会的に有意義な事業をしていて、自分がその一端を担っているという実感があっても、労働時間が長いことやなかなか休めないということに不満を持つだろうか?

という疑問が湧いてきます。

もちろん、賃金や残業・休日の労働条件は大事なものですから、これが悪くていいという話ではありません。
しかし、「良好な人間関係が築けていて、自分にとって意義のあることに夢中になって」いれば労働条件は、(法律違反のレベルの劣悪さでなければ)それほど気にならない。というのが私の経験からの答えです。

「自分にとって意義のあることに夢中になる」というのは「はたらきがい」です。

人は「はたらきがい」を失ったときに、その会社を退職するのです。

もう一つの理由「人間関係」

どんなに仕事が楽しくても、人間関係が悪ければ辛い。

前項で「良好な人間関係が築けていて、自分にとって意義のあることに夢中になって」と書いた通り、「良好な人間関係」と「自分にとって意義のあることに夢中になって」を比較すると、「良好な人間関係」の方が大事です。

いじめやハラスメントはもちろんですが、ちょっとした行き違いや、価値観の違いが発端となって、人間関係が崩れ、それがエスカレートして退職へとつながります。

人間は社会的動物ですから、価値観の合わない人と一緒にいることや、組織の大多数の人の価値観に違和感を持ちながら、組織内に留まるというのは無理があります。これには多くの人が同意すると思います。

社風とは?

結局、社員が退職する理由は二つです。

  • 「人間関係」が崩れること
  • 「はたらきがい」を失うこと

企業の中の人々に共有された行動の様式,スタイル。それぞれの企業は意思決定の方法,伝達の方法,上下間の接触の仕方,共同の方法,説得の方法などに関して独特の特徴を持っている。社風は,企業の価値観,信念,規範としての目に見えない企業文化を知る重要な手掛かりである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典(コトバンクから引用)

上記は「社風」の意味なのですが、「人間関係」が崩れる要素も、「はたらきがい」を失う要素も網羅していると思います。

そもそも会社の価値観と、個人の価値観に違いが明らかであれば、退職する人もいるでしょう。

また、会社が、外に向かっては「社会貢献」という価値観を標ぼうしながら、性差別など、現代では非社会的となる規範のある会社では、退職に向かう人もいるでしょう。

社員が大事と言いながら、実態はパワハラが蔓延している会社も退職者が多いでしょう。

そういう人たちが、「仕事が自分に合わなかった」「人間関係が合わなかった」「労働時間、休日、休暇の条件が良くなかった」「賃金が良くなかった」「ノルマや責任が重すぎた」「自分の能力・技能を活かせなかった」「会社の将来性がないと考えた」と、嘘ではないが本当でもない理由を言って退職するのです。

ですから、社員の退職を防ぐには、「良い社風」を築き、「良好な人間関係」の維持と、社員が「はたらきがい」を持って働ける環境の整備が不可欠です。

社風を形作るのは誰か?

その社風を形作るのは、言うまでもなく社長です。会社によっては経営陣というグループになるでしょう。
仮に「はらたきがい」の有無が社員の退職に関わっているという私の考えが正解であれば、経営者として最重要の仕事は「良い社風」を築くことです。何故かというと、経営の4要素、人・物・金・情報のトップは「人」ですから。経営で一番大事なのは、「人」の事なのです。

そして、「良い社風」作る権限があるのは、経営者のみです。

失敗事例を参考に

一口に、「良い社風」作りと言っても何すればよいのか?
世の中に成功事例は溢れていますが、あまり参考にならない。

私も、成功事例からこれをやれば「良い社風」を築けるというポイントは見つけられません。

でも逆に、今まで自分がこういう失敗をしたとか、こういう失敗を見聞きした。というのを紹介することはできます。
「これをやったら失敗するだろう」というのが分かっていれば、対応出来る可能性は高くなりますよね?

マキャベリも、「天国へ行く最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」と言ってますから、失敗事例を見た方が良いです。

例えば、分かり易く「パワハラ」
優秀な人は、「パワハラ」も悪と考えますが、「パワハラ」が起こる背景を気にすると思います。

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「理念」そのものは素晴らしいのですが、経営者の実力不足で実践できず、お題目化しました。
どんなにごまかしても、いつか社員は気付くんですよね。

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どれも極端な例ですが、このような事になる芽は多くの会社に内在しているというのが私の結論です。
だから参考になるはずです。

みんなを幸せにする会社にして欲しい

紹介している事例には、私の失敗も含まれています。実は社長ではないけど、経営に参画していたことがあり、その時に沢山失敗しました。

私を含めた多くの人の失敗例を参考に、社員も顧客も社会も、そして自分も幸せになるような会社を作って欲しい。その一助になれば、自分のヘマもまぁいいか。と思えますので。

ということで、経営者の皆さん、頑張ってください!

難しい?
難しいことをやるから給料が高いんです。そのことを忘れると、これまた社員に見透かされますよ!

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。