こんな社風は嫌だ~スローガン経営~

  • 2020年8月18日
  • 2021年5月18日
  • 社風

今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。

(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係

この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
(過去、私が実際に見聞きした中で、社員目線で「これはキツイだろうな」と思った実例を紹介します。極端な事例もあって直接参考にはならないかもしれませんが、こんなこともあるのか。程度に考えていただければと思います。)

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今回は「スローガン経営」です。

政治などでも、スローガンばかりで、全く具体策がない。なんてことありますよね。

会社では、「理念」や「ビジョン」という形で、見栄えの良いものを掲げると、一時的に世の中から注目されたり、社員がやる気になります。
でも、それを実現するための具体策がなく、ただのスローガンだった?となると、社員がやる気を失う。なんてことも多いです。

念仏平和主義

「念仏平和主義」という言葉があります。なんでも司馬遼太郎さんが使った言葉らしいです。
主として革新系の人たちが「憲法9条を守れば平和が実現される」「平和平和と唱えていれば平和になる」と信じているのを揶揄した言葉とされています。

もちろん、日本で一生懸命憲法9条を守っても、平和ソングを唄っても、平和平和と念仏のように唱えても、日本人を拉致する国もあれば、領海侵犯を繰り返す国もあります。

その現実に直面し、責任を取る立場の人は、自衛隊という組織を作って防衛体制を強化したり、自国と価値観の合う国と同盟関係を結び、敵対的な国に対処しようとします。

「念仏平和主義」者は現実の事態に責任を取る必要もない、外野にいる評論家でしかないので、そこに留まっている分には、あまり実害はありません。

しかし、企業の場合、その経営者が「理念」「理念」と念仏のように唱えているだけで、理念が実現する。と本気で信じている場合は、実害は相当なものになります。

採用に成功することも

私のよく知っている経営者がこのタイプです。
ものすごく高尚な理念を掲げ、スピーチも上手なので、その理念に憧れて入社する若者も沢山いました。
しかし、この会社の実際のビジネスは、その高尚な理念の実現に向かうものなのか?少々疑問。
でも、それに対しては、理念実現に向けての雌伏の時。という説明がされてました。

ついで言うと「理念とはいつまでも実現できないくらいのレベルのものだ」「理念の実現は、自分ではなく、社員全員の力で達成すること」と、まぁもっともらしい理屈を言います。

そのストーリは秀逸でした

現実問題として、今取り組んでいる仕事は、その理念とどう結びつくかも不明です。
そのような状態で、「理念の実現は、自分ではなく、社員全員の力で達成すること」と言われても、ほとんどの人は、何をやったら分からないでしょう。
その状態で、「理念とはいつまでも実現できないくらいのレベルのものだ」と言われれば、なんとなく納得。
「今は雌伏のとき」と言われれば、いつ、どういう状態になれば「雌伏のとき」が終わるのか?が分からないものの、こちらも取りあえず納得します。

件の経営者の構築したストーリと、彼のスピーチ力は秀逸でした。一種の天才ですわね。

退職者激増

件の経営者の天才性もあって、この状態は結構長く続きました。しかし、端的に言うとこれは嘘なので、いつかは破綻します。
風の噂では、最近は社員からの信頼を失い、退職者も激増らしいです。

まぁ、社員もどこかで「スローガンばかりで全く実行しようとしない」と気付きますよね。

恐らく素の行為です

件の経営者の名誉のために言っておきますが、彼は悪意も何もなく、心の底から自分が言っていることを信じてたと思います。

普段から「組織には共有する価値観が必要」と言っていたので、理念がそれだと思っていたのでしょう。
「理念とはいつまでも実現できないくらいのレベルのものだ」というのは、その実現を目指すものではなく、組織の共通価値観と定義していたのでしょう。

そして、「理念の実現は、自分ではなく、社員全員の力で達成すること」というのは、文化として定着させたかったのではないか?
と思います。

何がダメだったか?

以前、最上位概念(理念とかビジョンとか)から、目的→目標→戦略→戦術と落としていって人材像を導き出す。ということを書きましたが、この経営者に足りなかったのは、正しくこれです。
件の経営者には、理念はあるものの、目的、目標、戦略、戦術が無かったのです。

「理念とはいつまでも実現できないくらいのレベルのものだ」というのは正論です。
だからこそ、そこに至る道順である、目的、目標、戦略、戦術を作り、そこにに向かって努力し続けなければ、理念はただのモットー、念仏と化します。

そして「理念の実現は、自分ではなく、社員全員の力で達成すること」で文化として定着を図りたいのあれば、自分(一番分かっているのだろうから)で、目的、目標、戦略、戦術のいずれかを社員のレベルに応じて示し、理念の方向に導く必要があっただろうと思います。

結局は、やるべきことを一切やらずに、上の方でワァーワァー言ってただけなんですよね。
経営者という当事者ど真ん中なのに、気分は「念仏平和主義者」同様、外野の評論家でしかなかったのです。
率直に言って、経営者としての実力不足でしょう。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。

>クソゲー採用を卒業しませんか?

クソゲー採用を卒業しませんか?

求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。こんなことの繰り返しで、ずっと採用活動を続けている中小企業が多いです。
私はこれを「採用活動のクソゲー化」と呼んでます。クソゲーとはルールや設定が酷すぎて、終わらない、つまらないゲームのこと。
今までの習慣やルールを変えて、まともな採用をしてみませんか?そう考える方はこちらまで。

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