今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。
(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係
この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
社員の退職は少なからず痛手が伴うものです。苦労して採用した社員が早々に辞めたり、将来の幹部候補と考えていた社員が急に辞めたり、社員はなぜ退職してしまうのでしょうか?私は介護などどうしようもない私的な事情は別として、社員が[…]
前回の「パワハラ」に続き、今回は経営者の「下請マインド」です。断っておきますが、業態としての「下請」ではありません。
下請ビジネスの定義
まず、誤解があるといけないので定義を明確にしましょう。
下請ビジネスというのは、「顧客に課題があって」、「顧客はその課題の解決策も分かっている」。
「ただ何かの事情で自分ではそれが出来ないから、誰かにやってもらう」。
という顧客の要求に応じる形のビジネスです。
顧客は、課題と解決策まで分っているのですから、その解決策を上手くこなせる相手を見つければよいです。
一般的には解決策を見出すのが一番大変ですから、その解決策さえ見出せば、ものすごく高度な分野以外は、それを実行する人は山のように存在します。
なので、下請けビジネスというのは、品質・コスト・納期だけの競争になりがちです。
これが大きなデメリットとなります。
一方で、メリットは、元請け会社との良好な関係が続けば、収入の安定化がし易いという点があります。
メリットの最大化とデメリットの最小化が経営ですよね
前途の通り、下請けビジネスというのは、品質・コスト・納期だけの競争になりがちです。
そのデメリットを認識の上、対策を講じるというのが経営だと私は考えます。
例えば、
(1)基盤として、下請型のビジネスを置き、経営を安定させつつ、新たな事業開発をする
(2)「そりゃ収入の安定が一番!」と下請ビジネス一本で行くと決めた上で、小口の取引先を多数持つ(いざとなったら断っても痛手が少ない)
(3)技術を磨いて、その分野では圧倒的な存在になり、元請け会社に対して優位な存在になる
なんて感じですよね。多くの経営者がやっていることです。
そうじゃないケースも結構あります
なんてことで、真っ当な経営をしていれば、業態として「下請」でも問題はないです。
問題が生じるのは、当の経営者が、下請のデメリットに対し手を打っていないというケースです。私はこれを経営者の「下請マインド」と呼んでいます。
何度も言いますが、下請けビジネスというのは、品質・コスト・納期だけの競争になりがちです。
そしてそのしわ寄せは、末端に社員に行きます。
極端に言うと、価格競争が激しい場合、最終的には社員の給与に手を付けるでしょう。納期が厳しければ、過重労働に向かいます。
そして次にくるのはサービス残業。
最後は何年か前の電通のように社員の自殺。となります。
まぁこんな極端なことは稀ですが、社員が影響を受けているケースはよくあることです。
結局は経営です
前述の対策は今は出来ていなくても良いです。そもそもそう簡単に実現できるものでもない。
出来ていなくても「基盤として、下請型のビジネスを置き、経営を安定させつつ、新たな事業開発をしてるんだ!」「下請のデメリットを小さくするために、小口の取引先を多数開拓するんだ」と方針を示した上で、そちらに向かっていること。
そして、社員がそのことを理解していることが大事。
しかし、対策の方向が見えず、「品質・コスト・納期だけの競争になる」というデメリットを社員に背負わせているだけだと、社員が考えたら、辞めることもあるでしょう。
そして、仮にその理由で辞めたのであれば、その社員はそう考えるだけの素養があるということ。
これは勿体ないことです。