OJT+自己学習

私が、新卒から29年間勤めた会社、入社当初は酷いものだったのですが、3年目に入社して来た上司は素晴らしい人でした。

後年その人とちょっとトラブルになりまして、今はもう会うことも無いのですが、若かった自分にとっては、大いに刺激を受け、成長させてもらった存在。
ある時期までは、自分にとって理想の上司でした。

ここのブログは、企業の採用や教育を考えて行こうというのがテーマですので、過去私が部下として経験したマネジメントや経営手法を紹介したいと思います。

先日「完璧を求めないマネジメントスタイル」をベースに「自分で考える『教育』」を実践したと書きました。

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では、必要な知識やスキルを身に付けるためには、何をやっていたか?

実は、以下の理由があって「OJTと自己学習」に取組んでいました。

  1. 仕事の中でしか自分の不足に気付けない
  2. 自分の不足に気付かない限り教育することは出来ない
  3. そもそもプロの世界なのだから、自分の不足に気付いたら自分の責任で不足分を補うべき

私はこの方針に物凄く共感してましたが、今振返ってみると失敗したな。という部分もありますので、その部分も含めて紹介します。

仕事の中での気付き

仕事の遂行方法を自分で考え、上司や先輩と相談しながら進めて行く。これが教育の基本ですから、いわゆるOJTです。

仕事の中には、どんなに考えても、相談しても上手くできないものがあります。ここに気付きがあるはず。
「仕事が上手くできない」のは、何故か?と問うわけです。

自己学習原則

仕事が上手くできない理由は、その多くは自分の知識やスキル不足ですから、次の問いは、「一体何が足りないのか?」となります。

こうして、今の自分にどんな知識やスキルが足りないか具体的に知ることが出来れば、あとはそれを身に付ければ良い。「あぁ、これが足りなかったんだ!」と痛感すれば、勉強にも身が入るというものです。

足りない知識やスキルは人によって違うわけですから、この勉強は自分の時間を使っての自己学習となります。ただし、自己学習では無理なテーマの場合は、本人が希望を出すことで、外部の教育や講座も受講することが出来ました。

OFF-JTの問題点

一方で、企業で行われてるOFF-JTでは、組織主導で社員個人に足りない知識やスキルを抽出し、教育を施すことが多いと思いますが、これでは「あぁ、これが足りなかったんだ!」という気付きのプロセスを経ていないため、あまり勉強に身が入らない。となりがちです。

学生時代「こんなこと学んで何にあるんだろう?」と思いながら受けていた授業みたいなものです。

要は、「あぁ、これが足りなかったんだ!」の有無が教育する上で重要なポイントということです。私が最も共感したのはここの部分です。

プロは自分の時間で磨くもの

別の視点で考えると、プロであれば自分を磨くのは自分の時間でするものです。
「仕事は結果が全て」という考えに立脚すれば、仕事の遂行に必要な知識やスキルは、自分の意志で、自分の時間とお金を使って身に付けるものです。

学習の本質

上記までの考え方で、「OJT+自己学習」を知識やスキルを身に付ける方法として採用し、それなりに成果を挙げていたのですが、結構な割合で「全く自己学習をしない」=知識が増えないし、スキルも上達しない。という人がいました。

そもそも私はこの「OJT+自己学習」の考えに全面賛成していたので、当時その理由が分かりませんでした。単にやる気がない人が多いくらいしか思っていなかったです。多分そういう人も多かったとは思いますが、今振り返る、それ以外にも理由があったと考えています。

このことは、退職後すっかり忘れてたのですが、たまたまある本の記述を見て、衝撃を受けました。

教育の逆説は、教育から受益する人間は、自分がどのような利益を得ているかを、教育がある程度進行するまで、場合によっては教育過程が終了するまで、言う事ができないということにあります。

「下流思考」内田樹 著

言われてみると確かにそうです。
「自分に何が足りないか、自分で知る」には、足りないことを理解できる程度には知識が必要です。

しかしその一方で、その肝心の知識がないからこそ、勉強しなければならない。

という話になってしまします。

私たちはもう学生ではないので、これが全てのケースに当てはまるとは思いませんが、私はここに、なかなか勉強が進められない人が大勢居た。というひとつの理由があるのでは?と今では考えます。
何故ならば、社員は100%新卒であり、新人のときに元となる知識の取得まで、OJT+自己学習での実現が求められていたからです。

右も左も分からない新卒者にとっては、本当に「何が分からないのも分からない」状態だったと思います。だから「何に手を付ければいいのか分からない」、そして結局「何も出来ない」という状態が続き、月日だけ流れて行った。
それを私は気付いてなかったとは言え、やる気がない。と切り捨てていたのです。

どうすれば良かったか?

とどのつまりは、新人から数年は、OFF-JTで、自分に不足している知識やスキルを理解出来る程度の教育を実施した方が良かったと思っています。

本来は、上司や先輩が、一応は職務として以下を課せられてました。

  1. OJTで「自分で考える『教育』」を実践し、本人の気付きをサポートする
  2. 個人学習をサポートし、内容によっては外部講習の受講を勧める

プロ野球のコーチの役割に近く、これが出来れば理想的と今でも思いますが、現実にはあまり機能しませんでした。何故なら、彼らにも知識やスキルの蓄積が無かったのです。

上司や先輩もスキルがない

結局、初期教育をしていないため、中堅以上であっても勉強の仕方が分からない人たちばかりです。それが若手を指導するのですから、この指導の本質を伝えられない。

逆に、「勉強は自分でするもの」という事が、上位者が部下育てを放棄するときの体のいい言い訳になっていました。

考え方そのものは、今でも理想的と思っています。しかし理想だけでは、上手く回らない。時には実を取ることも必要だったと反省しています。

私自身は、今になって、何が問題だったかに気付いても遅いのですが、皆さんの参考になればと思います。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。