中小企業の採用ってクソゲーみたいになっちゃいますよね?

  • 2020年6月9日
  • 2021年11月4日
  • 採用

中小企業にとって採用はクソゲー(終わりそうもないゲーム)っぽい

一昨年、昨年とある会社(A社とします)の採用活動のお手伝いをしました。
最近の中途採用市場は売り手市場みたいで、採用活動もかなり苦労しました。また、せっかく採用してもすぐ辞めるなんてこともあって(一昨年採用した人が3ヶ月で退職してしまい、昨年採用活動を再開しました)、私の関わりも長期間になりました。

振り返ると、前々職、前職でも採用活動に携わっていたので、この分野の仕事はかれこれ30年超となっています。
いずれも従業員が100~200人の企業なのですが、この規模の会社が長期間採用活動するのは、コスト面、リソース面でかなりの負担があると思います。
その上、せっかく採用したのに、試用期間で逃げられるのは、心理的にも痛手が大きい。今回、お手伝いしている私も思わず「クソゲー(終わりそうもないゲーム)だな~」と呟いてしまうくらい高ストレスでした。

さて、この採用のクソゲー化って何とかならないかな?というのが今日のお題です。

就職のとき重視するのは「安定」「収入」「やりたい事」

内閣府が発表している、“就労等に関する若者の意識”の「図表10 仕事を選択する際に重要視する視点」によると、就職のとき重視するのは1位が「長く続けられること」、2位が「収入」3位が「自分のやりたいことが出来ること」です。平成23年の調査でも2位と3位が逆ですが、ベスト3は同じです。

「とても重要」「まあ重要」を合わせて9割前後ですから、多くの人がこの3項目を重視していることが分かります。
そりゃ、安定してて、給与が良くて、やりたい仕事が出来れば言う事なしですよね。

出典:特集 就労等に関する若者の意識|平成30年版子供・若者白書(概要版) – 内閣府

退職理由は2位の「人間関係」は就職時に全く意識されていない

一方で、退職するときの理由は?
同じく、内閣府の“就労等に関する若者の意識”の「図表7 初職の離職理由」(図2)によると、
1位から順に、「仕事が自分に合わなかった」「人間関係が合わなかった」「労働時間、休日、休暇の条件が良くなかった」です。

就職時に重視した1位の「長く続けられること」に対し、退職理由の「勤務先の会社等に将来性が無いと感じた」は6位、同じく就職時2位の「収入」は、退職理由では4位なので、まぁ良いとして、退職理由の「人間関係」は、就職時には意識していないです。

出典:特集 就労等に関する若者の意識|平成30年版子供・若者白書(全体版) – 内閣府

就職のとき最も気にすべきことは?

結論を言うと、人間関係を含めたその会社の社風、次に仕事の内容です。

私も退職経験が二度あります。どちらの会社も、給与・安定性とも不満はありませんでした。
私の場合、自分の能力をその会社で活かすことできるか?それで貢献できるか?が当時一番大きいと考えてましたが、今になってみると、そもそも人間関係が良好であれば、仕事面は多少我慢して、退職しないという選択をした可能性が高かった思っています。

やはり人間は社会的動物ですから、価値観の合わない人と一緒にいることや、組織の大多数の人の価値観(これが社風でしょう)に違和感を持ちながら、組織内に留まるというのは無理があります。これには多くの人が同意すると思います。

なのに、就職時に人間関係やその集積である社風を気にしていないというのはどういうことでしょうか?

人間関係や社風は表現し難い。勘違いもよくある

原因のひとつに、人間関係や社風は表現し難いというのがあります。
それについて私の考える理由は、以下の通りです。

  1. 多かれ少なかれ問題は存在するのは当り前だが、それを言うと採用チャンスを逃す可能性があるため、言えない
  2. 社内の人間にとっては、当たり前なので良いか悪いか分からない
  3. 社長が、社内の人間関係や社風を把握できていない
  4. 社長自身が理想に思っていることが、既に社内で実現されていると勘違いしている

実は、④だけはちょっと違って、明確に自社のことを説明できるケースです。でもこれは、現実を語らず、自分の理想を語っているに過ぎないのでタチが悪い。

いずれにしても、説明する方が客観的に把握できていないわけですから、聞く方も半ば諦めてますよね。
「入ってから知ること」と思っているのではないでしょうか?

結局は社長次第

会社の中で、社風や人間関係を客観視できる立場は、社長(経営陣)のみです。

いや、社風の構築は社長の仕事でしょう。その仕事を遂行するためには、客観的に現状を把握し、他社と比較するなどして自社のレベルを知る事が必要です。

そして理想像を目指して、策を講じていく。これこそが経営でしょう。

採用シーンで社風や人間関係が注目されていないのはチャンス

以上述べてきた通り、多くの企業、多くの求職者が、就職時に、社風や人間関係に注目していないのが現実です。
特に求職者は、社風や人間関係については、入社してから知るものと諦めている節があります。
昨今は売り手市場ですから、求職者は嫌ならさっさと辞めれば済むことですから、まぁ良いとして(本当は損していると思いますが)、企業はこれではたまったものではありません。

まさにクソゲー。

でも、逆に言えば、多くの企業がこのクソゲー化の原因も分からず、自社のことを曖昧にしながら採用を続けているからこそ、チャンス!

この点に気付いた企業にとっては大チャンスなんです。如何でしょうか変えてみませんか?

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。