人材採用で一番大事な「考え方」という素質を見つけ出す設題例

  • 2020年7月22日
  • 2021年1月19日
  • 採用

私は、人材を採用するに当たって、一番大事なのは年齢でも性別でも経験でもなく、「考え方」という素質だろうと、言ってます。

仕事の仕方や個々の判断は、その会社の文化が強く影響しますから、その文化に適合しない考え方の人が入ってくると、お互いに不幸。

では、どうやってそれを測るのか?
私は、過去の自社の事例から問題を作り、その答えを見ることである程度は分かると考えています。(「考え方に着目した方がいい」)

と言ってもイメージが湧かないという声もあり、そりゃそうだ。と思いますので、実例を挙げてみたいと思います。

こんな感じの問題、どうでしょうか?

B社はITベンダーです。
今般C社(卸売業)の販売管理、在庫管理システムの受託をし、C社の業量や企業規模を勘案し、パッケージソフトの導入をすることになりました。
導入も順調に進み、そろそろ完了する頃に、C社より追加の要望が出てきました。その内容は以下の通りです。

(1)C社は、商品を全国に配送している。(配送は専門業者を利用)
(2)地域によって、配送費に若干の違いがあるので、コスト削減のため、地域ごとに最安の配送業者を一覧にして、手作業で仕分けしているのだが、担当者は結構大変
(3)販売管理、在庫管理にITシステムを導入するのだから、この業務もIT化したい

あなたなら、どういう手段でこの課題を解決しますか?その理由と共に、1,000文字で述べてください。

これは実際に私が経験したことです。
自分で経験したから、サラサラと書けますよね。
勿論かなり端折った内容になっています。

回答は?

さて、回答はどんなものが考えられるでしょう。
実際には、2つの案が出てきました。

  1. パッケージソフトを改造して、最適な業者を検索できる機能を追加する
  2. 複数の配送業者とボリュームデスカウント交渉をし、一番安いところ一社に絞る

これは現実に出てきた案だけです。
実際に問題を出すと、もっといろいろな回答が出てくるでしょう。

それぞれの評価は?

これは例ですので、私が好き勝手に評価しますね。

(1)の評価

  • (IT技術者なので当然ですが)パッケージソフトを改造しようと思える程度にITに詳しい
  • お客さんの利便性を考えている(新規導入するパッケージに組み込めば、操作は比較的簡単)
  • 思考がITに偏っている。少し頭の固い技術者タイプ?
  • B社の売上増にはなるけど、C社は新たなコストが発生する。そこは考えているのかな?

(2)の評価

  • 仕事そのものを無くすという思考をしている
  • コストもかからない方法を立案している
  • ITに拘りがないのは良いが、IT技術者ではないのでは?

社風とニーズで決まるでしょう

個人的には(2)のアイデアが好きですが、(1)も(2)も優劣はありません。
判断に必要なのは、自社の社風や文化、それと今欲しい人材像です。

仮にITに詳しい人材が欲しいなら、間違いなく(1)の案を出した人ですよね。
また、顧客ニーズに応える、そして相応の対価を受取るというのを第一に考えるのであれば、(1)を選択するのもありかと思います。

長い目で顧客との関係を良いものにしたいというのであれば、(2)でしょうね。営業も出来そうですものね。

汎用的なマネジメントを期待するなら、(2)ですが、技術部門を統括するなら(1)の人とか。

さらに考えると、(2)の人はセンスありと思いますが、そのセンスが鼻につくかもしれません。
能力より和を大切にする会社は(1)の人の方が良いかもしれません。

などなど、いろいろ考えられますよね。

面接での思いつき質問よりよっぽどマシ

事前に課題を出して、回答をもらうようにするのですから、お互いに時間が使えます。この時間が重要。
お互いに時間を使ってじっくり考えることが出来るのは貴重です。

面接で、「あなたの長所は?」なんて聞いて、適当に答えられるよりよっぽど良いでしょう?
面接では、その回答の評価をじっくりする時間も無い。そうこうしているうちに忘れますし。

応募がなくなるのでは?

こんな課題出したら、めんどくさがって誰も応募してこない?
そうかもしれません。指示のもとで仕事をする、いわゆるワーカーを採用するにはこの方法は合ってません。

でも、知識労働者、技術者、マネージャーの採用であれば、むしろこういう課題を面白がる人の方がいいのではないでしょうか?
お金かけても欲しい人材は、ワーカーではないですよね?

(因みにこのお話しは、こちらのブログにも書いています。私は(2)のアイデアを好きな理由もこちらに書いてあります。若かりし日の楽しい思い出です。)

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。