中小企業の採用について。相性は試用期間で見極める

  • 2020年7月13日
  • 2021年1月19日
  • 採用

今の採用は不合理だらけ

企業(特に中小)の採用についていろいろ書いています。
今の採用はいろいろ不合理なことがあります。

例えば多くの会社の採用条件は、いろいろ言ってますが結局は「若くて、同業の営業経験があって、頭が良く、性格も良く、周囲と協調出来る、例え相手がパワハラおやじでも上手く受け流せる人」というとてもいそうに無い人を求めて活動を始め、結局は妥協して終わっています。

普通に考えれば、採用条件にも優先順位があり、その優先順位は会社の方針で決まるものです。上記のようなスーパー条件は、その方針が曖昧なことの証明です。

シンプルに素質一本で選ぶのもありです

例えば、私は、採用条件は素質一本、経験、年齢、性別関係ない。という採用を提案しています。
そして、これは現行の社会問題に一石投じる取組みだろう。というお話しをしています。(詳しくは「年齢の縛りは必要ですか?」をご覧ください)

しかし相性も大事

ただ、この採用条件では、会社との相性という面が考慮されてません。
理想的には相性の溝を埋めるのはマネジメントと考えていますが、採用の段階で相性の良し悪しも分かった方がベストであることは確かでしょう。

そのために面接があると言えばあるのですが、たかだか1時間程度の面接で、どんな人か見極めることは不可能です。せいぜい好きか嫌いかでしょうが、これも怪しいです。お互いによそ行きの顔してますからね。

結局相性は入社後に分かる

私の経験で言えば、入社してから暫く経って「この人大丈夫かな?」と思うのは、だいたい10~20人に一人くらい。その中で「マジでダメ」と思うのは、10人中一人くらい。

つまり100人に一人は「マジでダメ。こりゃ無理」という感じです。多分、どんな優秀なスクリーニング技術を使ってもこのくらいは居るのだと思います。

ただ、これは本人の問題ではなく、会社の文化や、マネージメントレベル、業務遂行レベル、仕事の多様性(大手は無駄を含めていろいろな仕事があるが、中小は仕事の種類が限られている)の要素が大きいと思っています。言ってみれば誰が悪いという話ではない。

一周回って元に戻りますが、相性が悪いとしか言いようが無い。という話です。

相性の悪さは不幸の元

相性の悪さはどうしようもない面がありますから、初期段階で自社に合う、合わないの判定はしなければならないでしょう。

個人の事情もあると思いますが、合わないまま会社に居続けるのは、個人にとっても会社にとっても不幸だと思います。

そもそも試用期間は能力や適格性を見極める期間ですよね?

上記の懸念は社会通念上公正妥当とされておりますから、どこの会社でも試用期間を設けて、試用期間後に本採用という流れになっていると思います。

ところが、仮に本採用しない場合の要件(本来は「本採用拒否」と言います)が、一般の解雇と大差ないこともあって、試用期間後の本採用拒否という事例はあまり見られません(私はサラリーマン時代約30年間で2回本採用拒否しましたが。。。)。

なんてことで、多くの会社では、試用期間は設けるものの、実態は形骸化しています。

しかし制度そのものは、ズバリ「試用期間が労働者の能力や適格性を見極めるために設けられる」ものですから、相性が合わないときは、利用すべきと思います。

もちろん乱用してはいけません

勿論、乱用はいけませんし、「気にくわない」など第三者が見てまともでない理由は通用しません。
余談ですが、以前倒産も時間の問題と紹介したB社では、最近本当に「気にくわない」程度の理由で「本採用拒否」をして、退職の翌日弁護士から連絡があり、最終的には示談で賠償金を支払ったようです。
同質性の極みというか、誰も止めなかったんですね。

最初に合意しておく

話を戻します。
私は、以下を行えば良いかと思っています。

  1. 「本採用」する条件を明確にする
  2. ちゃんと教育をする
  3. 予め上記を本人に伝え、合意した上で試用を決める

もちろん試用期間で能力も見極める

私がお勧めしているのは、「素質のみで採用」ですから、入社後に教育訓練と勉強が必要です。
ですので、本採用を拒否するか否かに関わらず、試用期間中に到達すべきスキル水準を明確しなければなりません。

また、マインドや性格、組織文化に馴染めるか?という点ですが、やる気を無くすとか、性格が合わなければ、スキルも身に付かないと思います。
恐らくそれなりのスキル水準を設定すれば、そういう人は自ら退職して行くでしょう。

教育については、OJTでもOff-JTでも構わないと思います。
Off-JTの場合でも大雑把でいいのでカリキュラムを作り、一定期間ごとに試験を設けるのが良いと思います。
即ちその試験にパスしなければ、スキルが到達していない。という証拠になります。

また、B社の例でも分かる通り、本人が本採用拒否されたことを不服とし、訴訟を起こす(あるいは訴訟を起こす前提で示談を持ちかける)ことで、問題化します。
試用時点で、「本採用」の条件について合意が出来ていれば、普通は不満を持つこともないでしょう。

でもやっぱり採用した人は辞めさせない方がいいです

最後に。
実は私は、マインドや組織文化へ馴染めないなどを理由に社員を辞めさせるべきではないと考えています。
何故かと言うと、会社で仕事するのは、その人の「スキル」を使って、会社の業務を遂行するため。ひいては、会社の仕事をすることで、社会に貢献するためと考えているからです。

やっぱり仕事は「スキル」ですよね。だから、スキル面での出来不出来で判断し、スキル面で戦力になるなら、他の面で多少問題があってもその人の「スキル」を使う方が良いです。

そしてそれを使いこなすのはマネージャーの責任でしょう。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。