若い人を生かせるのはちゃんと教育できる会社だけ!採用でまず着目すべきなのはスキルでしょう?

  • 2020年6月17日
  • 2021年1月19日
  • 採用

兼ねてから私は、採用のクソゲーと言っています。ルールや設定が悪くて終われないゲーム、つまらないゲームという意味なんで使ってましたが、どうも言葉の響きが良くない。ということで、以後「間違った採用」と改めます。

さて、間違った採用。そうなる原因の一つは「採用企業が、具体的にどのような人材が欲しいか考えていない」ということ。そして、それは結局その企業に戦略が無い。別の言い方をすると経営になっていないということです。(詳細は「人材像を明確に!」をご覧ください)

ただ、まぁ「そもそもこっちの要求通りの人材が応募してくるわけないだろ!」「そんなことは分かっている。でもクソ忙しくて、そこまで手が回らないんだよ!」という意見もあるわけで、それはその通りとも思います。

しかしながら、よく考えると、いろいろ事情があるにせよ、間違った採用を続けるというのは、結局損してませんか?ということも言えるんじゃないかということです。

そのことについて、私が採用をお手伝いしたA社を例に取って話を進めます。

神様みたいな人を求めて苦戦

A社は「具体的にどのような人材が欲しいか考えていない」会社です。聞いても出てきません。
一応、私はA社の内情は分かっていたので、人材像の案は提示しましたが、経営層はピンと来なかったみたいでした。
仕方ないので、私の影響範囲である、採用を望んでいる部署と採用エージェント会社には、私の提示した人材像は共有しました。
経営と現場の意識の乖離が大きいので、外部の人間としてはここまでが精いっぱいです。

端的に言うと、採用主体となる経営層は「若くて、総務系の経験があって、頭が良く、性格も良く、周囲と協調出来る、例え相手がパワハラおやじでも上手く受け流せる、男性」という、神様みたいな人のイメージで採用に臨んでいます。案の定ですね。
もちろんそんな人が居る訳ないですから、最初から苦戦を強いられます。

せめて条件に優先順位をつけましょうよ

まず、若いというだけで他社との競争となる確率が上がりますし、総花的に良い人材なんてのは、どこも欲しがるのですから、応募段階でかなり数が絞られてしまいます。
よって採用が長期化する確率は高くなります。

企業戦略から人材像を導かないまでも、例えば「総務系の経験を最優先とする」と定義し、年齢という条件の優先順位を下げるだけでも、かなり採用が楽になると思います。

若い人を生かせるのはちゃんと教育できる会社だけ

余談ですが、企業はどこもかしこも若い人を欲しがります。まぁ分からなくはないですが、でも比較弱者の中小企業が大企業と同じ土俵に乗らなくても良いと思います。

そもそも 若い人が良いというのは伸びしろを期待してという面が大きいのでしょうから、自社でしっかり教育できる会社はそう考えるのは理解できます。
そかし、それが出来そうも無い会社が、伸びしろに期待するのはちょっと違うんじゃないか?とも思います。

一方で、おっさんはめんどくさいというのもありますが、少子高齢化の時代に、そんなこと言って、競争の激しいところに向かうのも賢明な判断と思えません。

人間なんて良い点もあれば悪い点もあるので、どこを活かすかでしょう。
総務系の経験のあるおっさんっていいと思いますけど(自分のことですが。。。)

そもそもそんな人は居ないと分かっていながら。。

話を戻します。

次に現実的な話として、「若くて、総務系の経験があって、頭が良く、性格も良く、周囲と協調出来る、例え相手がパワハラおやじでも上手く受け流せる、男性」なんて言っている経営陣も、実は、心の底では「そもそもこっちの要求通りの人材が応募してくるわけないだろう」と思っています。

だったら、そんなイメージを持たないで現実的な線でベストを尽くそうよ。とは考えないんですよね。
それはやっぱり「具体的にどのような人材が欲しいか考えていない」のが原因と思います。

面接重視の本質

苦戦続き、妥協に妥協を重ね、何とか試験に漕ぎつけました。
妥協するなら、最初から。。と思いますが。。

採用に当たっては、世の中で出回っている適性検査や面接を実施しますが、結局採用基準は曖昧なまま。
判断の基準は、適性検査での曖昧な評価と、面接での「気が合うか、合わないか」もっと言うと第一印象です。
比重的には面接9割という感じでしょうかね。

まぁ分かります。人間誰でも「自分と気が合う」は、そのまま「性格が良い」と判断しちゃいますものね。
でも人間の印象なんてアテにならないもので、たかだか、1時間程度の面接で気が合うなんてのは、本当かどうかも分からない。相手が世慣れた人だったら、その場で合わすことできますものね。

お決まりの入社後「違った」

結局、この程度で採用してしまうので、後で「違った」となることが多くなるわけです。そもそもの明確な基準が無く、感覚で決めているので、違ったも何もないんですが。

採用される側は「違った」と思えば、さっさと退職します。特に若手は。

こうやって、苦労した採用したものの空振りとなり、再び採用活動をしなければならなくなる。ということになり、益々深みにハマります。

まず着目すべきなのはスキルでしょう?

それを防ぐには、「人材像を明確に!」で述べた通り「最上位概念(理念とかビジョンとか)から、目的→目標→戦略→戦術と落としていって、目先の戦力との比較で、どんな人材が足りないか?を明確にする」ことです。

そして、こういう思考をすれば、必然的に「スキル」に目が行きます。
今行われている多くの採用事例は、あまりにもスキルに目が行ってないと私は思います。
スキルは客観視し易いものです。だからスキルに注視した方が良い結果が得られるはず。

「ファスト&スロー」(ダニエル・カーネマン)には、

たとえば、あなたの会社でセールスマンを採用するとしよう。(中略)まず、この仕事で必須の適性(技術的な理解力、社交性、信頼性など)をいくつか決める。欲張ってはいけない。六項目がちょうどよい。あなたが選ぶ特性は、できるだけ互いに独立したものであることが望ましい。

「ファスト&スロー」(ダニエル・カーネマン)

とあります。そしてこの章は、次の文で結ばれています。

さしたる準備もなく面接を行い、「私は彼の目を見つめ、そこに現れている強い意志に感動した」といった直感に従って採用を決めるよりも、ずっとましだということである。

「ファスト&スロー」(ダニエル・カーネマン)

まぁ、そういうことですね。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。