こんな社風は嫌だ~劣化したワンマン経営者~

  • 2021年1月25日
  • 2021年5月18日
  • 社風

今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。

(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係

この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
(過去、私が実際に見聞きした中で、社員目線で「これはキツイだろうな」と思った実例を紹介します。極端な事例もあって直接参考にはならないかもしれませんが、こんなこともあるのか。程度に考えていただければと思います。)

なぜ社風?という点はこちらを参照ください。

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前回「社長の資質が?」で、リーダシップの無い社長について書きましたが、今回は逆で、優秀な社長が陥る「能力が劣化した後もワンマンを続けたがる経営者」です。

会社と民主主義は相いれない

以前にも書きましたが、そもそも会社というのは、「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」に存在しているものですから、そこに民主主義が入り込む余地はありません。

「分業して」「利益の最大化」を目指す訳ですから、討議と多数決での決定が原則ゆえに、何事も時間のかかる民主主義とは真逆と考えて良いでしょう。

要するに、意思決定が得意な人に意思決定を任せ、リーダシップのある人にリーダを任せるということ。
そして一般的には、この役割を担う人を社長、経営者と呼びます。

また、任せるということは、その人が担当する分野は独断で決めて良いのですから、社長というのは(本当は会社の全メンバーが自分の任された分野においては)ワンマンであって当然と言えます。

社長は専門職

数ある役割の中でも、社長という役割は、難易度が高く、責任も極めて重く、心身のストレスも相当なものです。判断を誤れば、最悪多くの人が失業する可能性があるのですから当然です。

一般的には社長の給与は高くて当り前で、これに異議を唱える人は少ないと思いますが、これは社長という役割の難易度、責任、ストレスと、その能力が希少なことに見合うものと考えられます。

また、一部の天才的な人は別として、能力の旬の期間は短く、体力的にも精神的な面も合わせて考えても、そんなに長く勤められる役割ではありません。

ワンマンであることは必ずしも問題なわけではない

前項までを整理すると、以下の通りです。

  1. 社長や経営者は、ワンマンなのは当り前
  2. 能力のピーク時は長くなく、激務であることもあって、長続きしない

突き詰めて行くと、自分の役割を全うして、集団全体の利益を最大化し、個人の利益も増やしてくれれば、その集団に所属している人たちは、ワンマンだろうが何だろうが問題ありません。

問題が起きるのは、集団に属する個人の利益が、何等かの事情で増やせなくなるという時です。
その理由は、例えば「能力のピークを過ぎてしまった」「外部環境の変化に対応できなかった」等々あると思いますが、結局は、その時点での能力不足ということです。

仕方か役割を変えるべき

繰り返しますが、ワンマン経営者が悪いのはなく、結果が出なくなるのが問題です。
結果を出すために、経営の仕方を変えるなり、経営を担える人と交代するなりしなければなりません。

最初の会社の定義に戻ると、「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」ですから、自分の分担を上手くこなせず、全体の利益の最大化に寄与できなくなった時点で、どの役割でも外れるべきです。社長や経営者も例外ではありません。

しかし、現実には、なかなかそれが出来ないものです。

そのようなことをしていると、やはり社員はいなくなるでしょう。
結果が出ない、やり方も変わらない、人も変わらない。では明日に希望が持てませんから。

老害経営者に向かうことも

以上述べた通り、経営者には、高い能力が求められ、責任も重く、高ストレスな役割ですから、それを担うというのは、ある種の高揚感が伴うでしょう。
そして、成功したと自覚できれば、それが他者から見て決して成功ではないとしても、本人の自信は相当なものとなります。

これが高じ「この役割を担える才能を持っているのは、自分しかない」という勘違いをする人も現れ、そのような人の何割かは、能力や心身面でそんなに長続きしないはずの役割にも関わらず、それを続けようとします。

そもそも論として、これは馬鹿げた判断です。不老不死のクスリはまだ無いし、機械の体を貰える星もなさそうです。人の寿命が有限である前提に立てば、社長の役割の中に、次の社長を育てるというのが、かなりの比重であるからです。
しかし、自分の能力を過信した経営者のうち何割かは、後継者を育てない、あるいは後継者と目されてた人を追い出すようなことまでしてしまいます。

こうなると、ワンマン経営者はなく老害経営者です。

こういう状況になると、益々退職者は増えます。
残っているのは、老害経営者の傍にいた方が利益が得られると思っているか、何等かの事情で退職できないか、正常性バイアスに凝り固まっている人です。

私が若い頃尊敬していた経営者が「社長は長くやるものではない。長くやると知らず知らずのうちに垢が溜まる」と常々言っていました。
経営者がこのような見識を常に持ち続け、忘れないのであれば、引きどころを間違えることも無いでしょうが。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。