こんな社風は嫌だ~人の善意を利用する~

  • 2021年1月12日
  • 2021年5月18日
  • 社風

今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。

(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係

この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
(過去、私が実際に見聞きした中で、社員目線で「これはキツイだろうな」と思った実例を紹介します。極端な事例もあって直接参考にはならないかもしれませんが、こんなこともあるのか。程度に考えていただければと思います。)

なぜ社風?という点はこちらを参照ください。

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今回は「人の善意を利用する」です。

先日、昔の同僚からフェイスブックでたまたま私を見かけたとのことで、メッセンジャーで連絡をもらいました、10年振りです。
懐かしくて、結構な時間メッセージのやり取りをしていたのですが、ふと彼が退職したときの話になり、「当時の上司にやられて」「会社に愛着があった方だけど。。。」退職した。とのことでした。

「やられた」という点は、その上司が失敗したことを、部下である自分のせいにして、最終的には退職せざるを得なかった。という主旨でした。

当時私も経営幹部の一人だったので、このいきさつは聞いたかもしれないのですが、何分10年前のことなので、うろ覚え。本当に申し訳ないことこの上ないのですが、一方で、彼の当時の上司は、そういう人だったな。と思い出しました。

究極の逃げ上手

私もこの人(以後Aとします)にやられたことが何度もあります。例えばこんな感じです。

当時のAの役割は、営業。私はというと総務・経理です。お互いに部長という役職でした。
ある時、取引先とお金面でトラブルになっているようだ。と現場から声が上がりました。この案件の責任者は、Aですので、幹部会議で問いただします。
当初から答えは決まって「問題ない」。

一応私も経営幹部の一員ですから、A個人云々よりも、会社のことを最優先に考えます。問題がお金ということもあったので、A本人には「もし問題があるのなら、その問題解決に力を貸す」旨を伝えました。

ある日「取引先と打合せすることになった。特に問題はないが、先日力を貸してくれると言っていたので、念のためオブザーバーとして同席してくれないか?」と申し出があり、私も了承しました。

で、同席したら、すごく揉めてる上に当方に非があるように思える。「こいつ何やってたんだ?」なんて思って聞いていたら、なんとAが相手に対して「お金の問題は自分の管轄外。その話は経理を担当している、江田を窓口にします」と打合せの最後に宣言。先方もAには辟易していたようで、この担当替えを大歓迎。

というわけで、見事にやられたわけです。

ロジックは完璧

そのロジックは完璧です。Aは頭がいいんです。

  • そもそも江田からの申し出で同席してもらった(本当)
  • 「問題の内容がお金なので、江田の方が適任」とAと私、そして取引先と合意した(取引先との打合せの席上で断れなかったので、嘘ではない)

と他の幹部や社長には報告され、気が付いたら当事者ど真ん中にいました。

実は私は心の中で笑っちゃったんです。「またやられた」というやつです。毎度毎度なので、我ながら人がいいというか、、、でも忘れたころにやられるんですよね。。。。

まぁ、そんな奴なんで、文句を言っても始まらないし、そもそも取引先とは拗れに拗れているので、確かにAには解決能力はないのです。
会社という視点に立てば、まぁ私がやるしかない。

とは言え、相手とAの言い分が180度違うのには難儀しました。社内に向けて嘘をつき続けていたんですよね。その嘘を信じている社長から「交渉になっていない」なんて批判されました。社長と一緒になってAも批判に回っていたのは、さすがに頭に来ましたが。。。
今から考えてみると、その社長もAにコロッと騙される程度の人だったんですよね。

こんなのが上司だったら辞めますよ

結局、私は社内外の批判にさらされながらも、上手くこの案件を収めたので、Aに対して「この野郎、次は騙されないぞ!」と思う程度で済みましたが、人によっては上手く乗り切れないなんてことはあったんだろう。と思います。
最初に紹介した元同僚も、問題の内容は違いますが、構図は全く同じです。

  1. Aがやらかして問題になる
  2. 誰かに責任を被せる
  3. 周囲を上手く丸め込んで、責任者をすり替える

誰かに責任を被せるタイミングも絶妙で、「火事だ!」という段階。
この段階で聞いた多くの人は、自分がそのことに全く関係なくても、「とにかく火を消す」ことを最優先させます。

その背景にあるのは、善意だったり、責任感だと思うのですが、Aは他人の善意や責任感を利用するのです。

「こんなのが上司だったら辞めますよ」これが件の元同僚が退職時に言いたかったことだった。と私は思います。

自分もやっていないか見直した方が

人の善意を利用して自分が逃げ回ってばかりでは、そのうち誰からも信用されなくなります。Aはそれをやり続け、案の定最後は社員からの信頼ゼロとなりました。

そんな誰でも分かりそうなことを何故やり続けたのか?

本人と話すこともないので、想像するしかないのですが、もしかしたら無意識の行為ではなかったか?と思っています。

他人の善意や責任感を利用するというのは、役職上位になると割と簡単に出来るのは無いでしょうか?その典型はブラック企業というやつですが、そこまで行かなくても、「思わず」なんてありがちと思っています。

そう考えると、実は、自分も他の社員に対して、同様の事をやってたんじゃ?なんてことをよく考えます。

もしくは、上手く丸め込まれ続けた社長と同類だったとか。。。件の元同僚が退職したとき、実は私も丸め込まれていた可能性がありますし。

いずれにせよ、役職上位者は、自分が簡単に他人の善意を利用できる立場であることと、そういう立場を利用して逃げ回る人がいることを肝に銘じて、自身や周囲の人の行動を日々振返った方が良いでしょう。

実際に私の元同僚のように、「好きな会社だったけど、辞めざるを得なかった。」という人もいますので。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。