今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。
(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係
この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
(過去、私が実際に見聞きした中で、社員目線で「これはキツイだろうな」と思った実例を紹介します。極端な事例もあって直接参考にはならないかもしれませんが、こんなこともあるのか。程度に考えていただければと思います。)
なぜ社風?という点はこちらを参照ください。
社員の退職は少なからず痛手が伴うものです。 苦労して採用した社員が早々に辞めたり、将来の幹部候補と考えていた社員が急に辞めたり、 社員はなぜ退職してしまうのでしょうか? 私は介護などどうしようもない私的な事情は別として、社員が[…]
今回は「新規事業のつまみ喰い」です。
IT企業だけ?不況になると新規事業を始める
人材派遣が主体の「名ばかりIT企業」は、不況になると新規事業を始める傾向があります。
一般企業にとっては、ITは設備投資ですから不況になれば抑制傾向になる(この行動の是非はここでは問いません)。
その結果、一般企業を相手にする所謂ITベンダーの受注が落ち、その下請けのIT企業、大手ITベンダーに人材派遣をしていたところは、派遣契約の解約をされる。
そうなると人が余るので、「新規事業を始めてみるか?」なんてことになり、解約された派遣要員を集めて。新規事業を始める。
という構図です。
半ば暇つぶし的に新規事業を始めるというわけです。
景気がよくなると新規事業をすぐ止める
そもそも会社としても本気で新規事業を始めようなんて考えていないし、集められた人材もそれ向きでもないので、バタバタ動いているだけ。
というのはまだマシな方で、大抵はボーっとしているうちに、景気が良くなり、新規事業は中止、メンバーはそれぞれ派遣先に散って行く。
というのがお決まりのパターンです。
当然、新しいことに取組んだことによるノウハウは蓄積しません。
この時点で全てリセットされます。
問題意識の出現
こんなことを繰り返していると「これじゃダメなのでは?」と考え始める人が出てきます。
まぁそうですよね。目先の景気循環で右往左往しているわけですから。
仮に次の不況が景気循環型の不況ではなく、構造型の不況だったらどうなるか?考えれば分かること。
人材派遣だけでは、やっていけないだろう。と思うわけす。
大抵の人はそれでも現状維持を選びますが、中には「なんとかしなければ!」と考える人も現れます。
そして新規事業がまた始まります
そして不況が来ると、またまた「新規事業を始めてみるか?」となり、普段から「なんとかしなければ!」と発言している人に白羽の矢が立ちます。
「会社もやっと本気になったか!」と勇躍取り組むのですが、当人は、そもそも新規事業を興した経験もない。
社内にノウハウの蓄積も無いので、指導してくれる人もいません。
経営陣は「新規事業を始めてみるか?」といつもの通り思いついただけで、新規事業を興すなんて覚悟も決まっていないし、丸投げするだけ。
指導なんてする気もないし、出来るはずもありません。
せいぜい今までの派遣ビジネスの延長で考え、的外れな批判をするくらいです。
ということで、なにをやるにしても、非常に効率の悪い。わけも分からずバタバタしているという感じ。
で、暫くすると、社内のあちこちから批判の声があがります。「遊んでいるだけだ」と。
犯人探しが始まる
そんなこんなで、景気が持ち直すと、案の定、経営陣は、派遣回帰への圧力をかけてきます。
そもそも既存の顧客への派遣が不調に陥ったのがきっかけなのにも関わらず、
「既存の顧客を蔑ろにするとは何事か!」なんて言いだす始末です。
ここへ来て「新規事業を立ち上げるというのは本気じゃなかったんだ。。。」と気付いても後の祭り。
事業失敗の責任を取らされて派遣に出されるか、
退職させられるか、
あるいは、本人が会社に嫌気が差して退職するか。
そんなところでしょう。
そして何も残らない
私は「これじゃダメなのでは?」と思う人は貴重な人材だと思うのですよね。
さらに、新規事業を立ち上げようとした経験。それが例え失敗でも財産だと思うのです。
それを消失してしまう。
また、新規事業立上げのために集められたメンバーも、退職とはならないまでも、毎度のごとく派遣に戻って行きます。
そして何年か経つと、新規事業で取り組んでいたことをすっかり忘れてしまうでしょう。
こちらも財産の消失。
結局元の木阿弥。時間だけを浪費しているのです。
そして、問題意識を持って実践した人が割を喰う。
こんなことを見てきた、この会社の社員にとって、新規事業は単なる罰ゲームですよね。誰もやりたがらないでしょう。
このような状態では、少しでも考える人は、さてどうするか?と考えてしまうでしょう。
他業界の人には信じられない話かもしれませんが、派遣を主体としてる「名ばかりIT企業」ではよくある話。
こんなこと書いている人もいます。
一般企業の人は、そんなこと俄かには信じられないかもしれません。
でもこんな極端でなくても似たような事例はあるんじゃないか?と思い紹介しました。