こんな社風は嫌だ~退職者を悪く言う~

  • 2020年9月14日
  • 2021年1月19日
  • 社風

今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点が原因の一つと考えています。

(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係

この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。
(過去、私が実際に見聞きした中で、社員目線で「これはキツイだろうな」と思った実例を紹介します。極端な事例もあって直接参考にはならないかもしれませんが、こんなこともあるのか。程度に考えていただければと思います。)

なぜ社風?という点はこちらを参照ください。

なぜ社員が退職するのか?

今回は「退職者を悪く言う」です。

退職者が出るというのはショックですよね。特に期待が大きかった社員に辞められると、失望感も大きいし、今後のことも気になります。
そのような心理状態からか、退職した人を殊更に悪く言ってしまう経営者を見たことがあります。
愛情の裏返しかもしれませんが、これは止めた方が良いです。残った社員に悪い影響が出ることがありますので。

家族的とセットになることが多い

私個人の印象でしかないのですが、自社のことを「家族的」と表現する会社に、「退職者を悪く言う」ケースが多いです。

前段で、経営者と書きましたが、一般社員でさえも退職者のことを悪く言う会社があります。
まぁ周囲に迷惑をかけまくった上に、突然来なくなっちゃったなど、悪く言われるのも仕方ないケースもありますが、それとはまた別で、これは社風?と思うケースも多々あります。

裏切者意識

これも私の主観でしかないのですが、「退職者のことを悪く言う」会社組織の心理を見ると、「裏切者」という意識が見え隠れします。
家族的と自分たちで言うくらいですから、仲間意識が強いのでしょう。
そしてその仲間から外れた人を悪く言う。会社に限らずよくあると言えばよくある光景ではないでしょうか?

所詮「仕事の関係」

度々引用している「嫌われる勇気」には、仕事の関係について以下の記述があります。

距離と深さという観点から考えると、仕事の対人関係はもっともハードルが低いといえます。仕事の対人関係は、成果というわかりやすい共通の目標があるので、少しぐらい気が合わなくても協力できるし、協力せざるをえないところがあります。そして「仕事」の一点によって結ばれる関係である限り、就業時間が終わったり転職したりすれば、他人の関係に戻れます。

岸見一郎・古賀史健「幸せになる勇気」

要は、会社での関係の本質は、仕事と成果によって結ばれたものであり、基本的にはそれ以上でもそれ以下でもありません。
「裏切者」と思うのは、過剰反応でしょう。

残った社員への悪影響も

「裏切られた」という気持ちは分からなくもないですが、仮にその思いが独りよがりなものだったらどうなるか?
というか「裏切られた」なんてほぼ独りよがりな考え方です。

一人の人間が、今まで勤めた会社を辞める。という決断をするとき、必ず理由や事情があるはずです。特に理由もなく、ただ裏切りたいという理由で退職する人は、まぁ見たことないです。

そしてその理由や事情を経営者に全て話すか?

恐らく話さないでしょう。
しかし、気に合う人には話をすることもあると思います。

で、本当の理由や事情を知っている社員が、「退職者のことを悪く言う」経営者や幹部、社員を見てどう思うか?
理由や事情を知らなくても、退職した人とそれなりに親しかった社員や、信頼を寄せていた社員はどう思うか?
不要なわだかまりが生じるでしょう。

そういう社員が発した言葉を聞く機会があったのですが、最も痛かったのは「死人に口なしで、根も葉もない、酷いことばかり言う」でした。

事実は受け止め、再発防止を

再び「嫌われる勇気」から引用すると、

裏切るか裏切らないかを決めるのは、あなたではありません。それは他者の課題です。あなたはただ「わたしがどうするか」だけを考えればいいのです。

岸見一郎・古賀史健「幸せになる勇気」

期待していた社員が退職した。これには何か理由があるはずです。
本人が全部を言わなくても、想像は出来るでしょう。その理由のうち、自分たちで対処できる範囲、すなわち「わたしがどうするか」だけ考え、対処していけばいいのです。

そういう姿勢でいれば、退職した人と親しかった人も、なんのわだかまりもなく仕事に打ち込めるでしょうし、その人の退職をきっかけに、会社を良い方向に進む。ということになります。

残った社員にとっては、この状態の方が幸せですよね。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。