こんな社風は嫌だ~家族的を強調~

  • 2020年9月7日
  • 2021年5月18日
  • 社風

今どきの採用/就職は、失敗が多いと考えています。その原因は、本当は大事だと思う、以下の2つについて、企業が明確にしない点と考えています。

(1)企業が必要としているスキル
(2)社風や人間関係

この2番目の“社風”について焦点を当てようと思います。
それ次第で、採用が覚束なかったり、せっかく採用しても早期退職になってしまいますので。

何故社風?なのかはこちらをご覧ください。

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今回は「家族的を強調」です。
求人広告で「当社は家族的な経営」と書かれていることが多いのですが、ビジネスで家族的というのは成立するのかな?と少々疑問です。

「カープは家族」と新井さんが言いましたが

企業に限らず、「家族のような」と表現される組織はたまにあります。私の好きな広島カープも「カープは家族」と新井さんが言っていました。その心を推察すると、「家族のように仲が良い」「家族のような絆で結ばれている」という感じなのかと思います。

実は、私はこの「カープは家族」というのに物凄く違和感を持ちました。有体に言うと「めんどくさい」です。

企業と家族はそもそも違う

いつも書いてますが、そもそも人間が何故組織を作るか?
私の答えは「得意分野の違う者同士が分業しある目的を達成するため」です。
これを企業に当てはめると、目的は「利益を最大化」でしょうし、プロ野球チームであれば、目的は「優勝」でしょう。(企業体としてのプロ野球球団はもちろん「利益を最大化」です。念のため)

一方で、家族というのは、目的も好き嫌いにもほぼ関係なく成立するものと考えます。夫婦というのは、好き嫌いで決まるでしょうが、親子は自然ですものね。
利害で結びつかないのが家族と定義しても良いかと思います。

まず貢献が求められるのがお仕事

こんなこと書くと当り前と言われるかもしれませんが、「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」に存在する企業では、そのための貢献が第一です。

一方で、家族関係に仕事のように貢献を求めたら、破綻するのでは?と思います。少なくとも私は、自分の子どもに「得意分野の違う者同士が分業しある目的を達成するため」に何か貢献せよ!とは言ったことがありません。

以上から、企業を含め組織と家族は別物と考えています。

気が合わなくてもやっていくのがお仕事

以前、「うちの会社は家族のよう」と言う会社に勤めてました。
その会社では、社員の中にも「うちの社員は仲が良い」と常々言っている人もいました。

今だから言いますが、社員同士がそんなに仲良しでもないのに、何故そんなことばかり言うのか?と当時から思っていました。

「家族」を強調する人の中には、大嫌いな人もいたので、「あなたとは家族でも何でもないので、会社を離れてまで付き合うわけがない。仕事だから話をするだけでしょ?」と思っていました。(現にその会社を離れて以降会ってません)

これって普通ですよね。組織には、気の合わない人が居て当然ですし、それでも一緒にやっていくのがプロってもんですよね。

違うものを取り入れるのはなぜ?

「家族のような~」という表現に違和感を持つ人間としては、何故わざわざそんな表現をするのか?というのは想像するしかないです。
一生懸命考えましたが、想像力が乏しいので、次の3つぐらいしか出て来ませんでした。

(1)社員に対して家族のように無償の愛を求めてる
(2)仲良しの比喩として使う
(3)単なる願望

(1)は、もうそれはブラック企業でしょう。期待するのは良いですが求めるのは違います。

(2)は、比喩として使うのは、良いと思います。組織のメンバー同士、仲が悪いより仲が良い方が成果に出る可能性は高いでしょうから。
でもあくまで「貢献」があっての「仲良し」ですから、殊更に「家族のような~」を強調することで、優先順位が分からなくなるケースがあるかと思います。

というか、当り前に、仲が悪いより良い方がいいに決まってる。それを殊更に強調するのは何故でしょう?

それを強調するのは、多分「個人の願望」ではないかと。

経営者として、社員から好かれるというのは理想でしょうし、社員同士が仲良しの方が成果が出しやすいのですが、現実にはそんなことは少ない。

その現実を直視できない。少なくとも私の知っているケースではそういう人が多かったです。

安易に家族なんて言わない方がいい

私の結論は以下の二つです。

(1)会社(組織)と家族は別物である
(2)社員に好かれる経営者、社員同士の仲が良いのは理想だが、現実的ではない

特に(2)から「家族」を強調したい気持ちは分からなくもないです。
それで意気に感じる人もいるでしょうが、そうでも無い人もいるはずなんで、安易に使うべきではないと私は考えます。

何故ならば、そもそも「得意分野の違う者同士が分業し利益を最大化するため」には同質性(「家族」と聞いて意気に感じる人たちばかり)より、多様性が(会社を「家族」に例えるって変じゃない?と思う人も)必要だからです。

「家族」を強調すればするほど、後者が違和感を持ち、いなくなる可能性が高くなりますので。

会社は商店じゃない。
組織を作り「会社」を作ること 採用はそのスタート地点

「求人しても集まらない。面接に来たけど全然マッチしない。入社したけど1ヶ月で退職してしまった。」こんなことの繰り返しで、ずっと]採用活動を続けている。そんなことありませんか?

「曖昧な定義で“戦力”になりそうな人を探す」より「“戦力”を定義し」、「組織を作り」、その上で「自社にマッチした考えの人を採用し」、「育て」、「戦力にする」と視点を変えてみましょう。

これすなわち経営。採用活動こそが最初に経営の力が試される場なのです。